香りノート

vol.7 沈香

いにしえより伝わる馥郁たる香り

2015.04.05

名称:沈水香木(ぢんすいこうぼく)/アガーウッド
原産地:ベトナム・インドネシア・マレーシアなど


日本での「香」の文化は仏教の伝来とともに大陸より伝えられたといわれています。そして『日本書紀』には「大きな沈水香木が淡路島に漂着し、島人がそれと知らず薪とともに燃やしたところ、その煙が遠くまで薫り、これを不思議なこととしてこの木を朝廷に献上した」という内容の、日本で最古の「香」に関する記述が残っています。朝廷に献上される程の香り......一体どんな香りだったのか想像がふくらみます。
沈香は様々な外的要因によって木質部に沈着した樹脂が凝結し、樹木自体が枯れていく過程で熟成されてできたものです。熱をあたえられる事で芳香を放ちます。特に、香りや油質の違いによって伽羅はより品位が高いものと分類されています。
上品で馥郁とした香り。大切な一日にその香りにひたるのもいいかもしれません。



香木を取り巻く環境
地球規模での自然環境や社会情勢の変化にともない、品質の良い沈香や白檀を安定供給することは次第に困難になりつつあります。ことに沈香は絶滅危惧種として、世界的な視野での保全管理が必要とされています。


香りノートは香りにまつわるあれこれをご紹介する小さなコラム。
香りがみなさんの暮らしに彩りを添えられるように、そんな願いをこめてお届けします。

【参考文献】

日本の香り 平凡社 2005年

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