展覧会 “Skagaströnd” プロローグ
2023.02.06
2月10日から始まる陶芸家 東好美さんと写真家 今西徹さんの展覧会“Skagaströnd”。
タイトルは、二人が滞在したアイスランドの小さな町の名です。
昨夏、二人はそこで4週間を過ごし、作品制作をされました。
今回は作品が生まれたその地のことを、みなさまにも少しご紹介します。
日本からフランスを経由してアイスランドのレイキャビックへ。そこからバスに揺られること5時間。
丸一日以上をかけて到着したのは、アイスランド語で「半島の海岸」という意味を持つ
人口約400人の小さな町Skagaströnd(スカガストロンド)。
賑やかな施設などはないけれど、レストラン、スーパーマーケット、郵便局など
生活に必要なものがコンパクトにまとまっています。
火山国アイスランドらしく、町の背後にある山はかつての火山。頂上からは町が一望できます。
そこは海と山に囲まれ、空が広く見渡せる美しいところでした。
二人は鰊の加工工場をリノベーションして作られたスタジオで制作を始めます。
そこは二人の他にも世界各地から6組のアーティストが滞在し、様々な制作をしていました。
それぞれが空いたスペースをシェアしあいながら、それぞれの創作をしていきます。
二人はスチール棚で隣との境界を区切り、工事現場用の三角脚を使って設置した手製のデスクに
布を掛け、写真現像の暗室も設えます。材料や工具は現地にあったもの、手に入るものを
工夫して利用します。日本の日常では生まれない、限られた環境の中での創意工夫の結果が、
作品にも反映されます。
今回の今西さんの写真は、青色が特徴的な「サイアノプリント」という技法で制作されています。
鉄の化合物を、太陽光で露光させて表現する古くからある技法です。
海・空・大地・山という景色に囲まれた中で、食事と制作を繰り返す生活サイクル。
シンプルで無駄のない時間のなかで、周りにあるものを写しとった作品は、
自然と様々なものが削ぎ落とされた独特の雰囲気をかもし出します。
青の濃淡のみで表現された景色だからこそ、想像を掻き立て、その世界に
思わず吸い込まれてしまいそうです。
一方、東さんは現地のことを感じ、制作に取り入れるために、まず辺りの散策から始めました。
スタジオのすぐ横には海が広がり、おそらく火山由来の独特の質感と形状の石が点在しています。
軽石のようなものや、スパッと切ったような断面をしたものなど、いろいろな表情の石をみつけました。
他にも、打ち上げられ奇妙な形に乾燥した海藻などを拾い集めます。
天候は移り変わりが早く、一日の中で曇り・曇り・曇り・雨・晴れを繰り返して過ぎていきます。
そんな環境に身を置くことで生み出された作品には、荒々しさや無骨さが残り、
これまでの温かみのある優しい作品とはまた違った、直線的な力強さが現れています。
同じ場所で、同じ景色をみて、同じ生活リズムで過ごした二人。
それぞれが異なるジャンル、異なる感性でかたちにした作品たち。
そしてそれらが共鳴して生まれる新たな景色を、ぜひ展覧会で感じてみてください。
“Skagaströnd”
exhibition of clayworks and photography
Yoshimi Azuma and Toru Imanishi
<会期>
▶︎リスン京都
2023年2月10日(金)〜2月27日(月)
営業時間 11:00〜19:00[短縮営業中]
※2月21日(火)COCON KARASUMA休館日のため休業
▶︎リスン青山
2023年3月9日(木)〜3月27日(月)
営業時間 10:00〜19:00
※水曜日定休
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