想いをはこぶ香り香りはおくりもの
2018.01.15
第二回は、わたしたちの想いを大切な人のもとへとどけてくれる香りについてのお話です。
大切な人と過ごすとき、
誰かに想いを伝えたいとき、
自分の中に生まれてくる大切な気持ち。
言葉ではうまく言い表せないような素敵な気分は、
どんなふうに伝えることができるだろう。
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リスンとの出会い
ポジティブでアクティブな印象の彼女。先日初めてお会いしたときの真っ赤なロングスカートが、彼女の前向きな雰囲気に本当によく似合っていた。聞くと、インセンスとの出会いは、リスンが北山にオープンして間もない25年以上前のこと。「あのころは北山におもしろいお店がたくさんあって、情報誌に北山が取り上げられることが多く、その中からリスンの情報を見つけて訪れたんだと思います。店内のモノクロームでシックな雰囲気に対して、色とりどりで丈の短いインセンスがずらっと並んでいたのが印象的で、『お仏壇で使うお香のイメージとまったく違う!』と、とてもひきつけられました。それからは生活のいろんなシーンで、なくてはならない存在です!」。リスンの香りをながく愛用している彼女と香りの世界との出会いは、いったいどんなふうだったのだろう。
香りとともにある暮らし
「とにかく香りのものが大好き。たぶん子どものころから草木やお花を育てることを楽しんでいたから、香りのものにひかれるのだと思います」。子どものころに大切に育てていた植物たち。それらがくれる、香りのプレゼント。彼女の香りとともにある暮らしは、彼女の中に残る、香りの記憶からはじまった。
贈る、香り
幼い頃から香りとともに暮らしてきた彼女。リスンのインセンスは、お世話になった人や大切な人たちへ自分の気持ちを伝えたいとき、おくりものにすることも多いという。「たとえば手紙に添えたり、久しぶりに会う友人にプレゼントしたり。見知らぬ人の手を借りたときの心づけとして、旅行の荷物には必ず入れておきます。リスンのインセンスはいろんな香りがあってコンパクトで軽いから、ちょっとしたプレゼントにも最適なんです。自分の好きなものを贈って、ともに楽しんでもらいたい。そんな想いもあります。それと、香りは受け取る人の記憶に深く残るような気がするんです」。
お話が進むと、彼女が長らく滞在していたフランスでのエピソードを聞かせてくれた。楽しみにしていたコンサートの会場にたどり着けないかと思うできごとや、田舎の町でタクシーの営業が早く終わっていて困ってしまったこと。海外の見知らぬまちへの旅は、思わぬハプニングの連続だった。そのとき彼女を助けてくれたまわりの人たちとの心温まるエピソード。「感謝の気持ちでいっぱいです」「あなたとの出会いを、決して忘れません」「助けてくれて、本当にありがとう」と手渡したインセンスには、その瞬間の大切な想いをこめていた。彼女にとって、感謝のしるしに香りを贈ることは、想いを伝えることに似ているみたいだ。
香りのちから
香りは私たちの気持ちを動かし、ときにそっと背中を押してくれるもの。彼女にとって香りとは、いったいどんな存在なのだろう。「私にとって香りは、自分の中にあるいろんなイメージをより一層いい方向に膨らませてくれる、それをまた人に伝えていけるような気がするもの」。「私はいつも、出会う人の香りを意識しています。そうすると、目で見たイメージと香りが与えてくれる印象とが合わさって、人との出会いが自分の記憶の中により鮮明に刻まれるように思うんです。香りって、私たちにいろんなことを思い起こさせるものではないでしょうか?香りからいろんなことを感じとったり、考えたり、想像したりする。ときにはその想像が創造を呼び起こす!なんともおもしろいことですよ」。
香りが伝えること
「香りを贈ることには、実はひそかな想いがあります。贈る相手を心にとどめ、そして私のことを忘れないでね、と」。
言葉で何かを伝えるように、大切な人やお世話になった人へ香りを贈る彼女。
香りがとどく。記憶に深く刻まれる。
春、蕾がやわらかく開きはじめた花たちの香り。
大切な人と、一緒に過ごした時間の香り。
あの日出会った人がくれた、香りのおくりもの。
「香りはきっと、言葉以上に、何かをイメージさせるもの。
香りはきっと、言葉がなくても、想いを伝えてくれるもの」。
彼女のそんな表現が、すっと心に落ちていく。
リスンの香りが、もっともっとたくさんの人の元へ、とどいてゆきますように。