香りノート

vol.25 ペッパー人々を魅了してきたスパイス

2024.11.28

名称:ペッパー(pepper)、胡椒(こしょう)
原産地:インド


ピリっとした辛さと爽やかな香りが特徴のスパイス、ペッパー。様々な料理に使える汎用性から、数あるスパイスのなかでも使用量が多く、広い地域で愛されているスパイスです。
ペッパーにもいくつか種類がありますが、その中でも最も馴染みのあるブラックペッパーは、若い緑色の果実を摘んで乾燥させ、黒く変色したものをいいます。一方ホワイトペッパーも、同じ種類の木から取れますが、こちらは果実が熟して赤くなったときに摘んで果肉を取り除き、白い種の部分だけを集めて乾燥させたものです。つまりブラックペッパーはペッパーの果肉が中心で、ホワイトペッパーは熟したペッパーの種そのものといえます。香りはブラックペッパーの方が強く感じられます。また、同じ「ペッパー」とつくものでもピンクペッパーはウルシ科の別の植物です。料理では彩りでよく目にしますが、香料素材としてもしばしば使われます。
そんなペッパーは、古くから人々にとって重要なスパイスでした。オリエントとヨーロッパの交易品として最も古い商品の一つであり、ギリシャで紀元前4世紀に書かれたペッパーについての記録も伝わっています。その後15世紀の大航海時代は、ペッパーを筆頭とするスパイスを、豊かに産出する地域から安く大量に買いたいという、ヨーロッパ諸国の強い欲望のエネルギーによって推し進められたといってもおかしくないでしょう。

今では当たり前にあるスパイスの1つ、ペッパー。力強い刺激と爽やかさのある香りは、リスンのインセンスにシャープなキレとパンチをもたらしてくれます。


香りノートは香りにまつわるあれこれをご紹介する小さなコラム。
香りがみなさんの暮らしに彩りを添えられるように、そんな願いをこめてお届けします。


【参考文献】

香りの百科事典 丸善株式会社 2005年

最新の記事

アーカイブ