香りノート

vol.24 アンバーグリス海からの不思議な贈り物

2023.10.04

名称:龍涎香(りゅうぜんこう)/アンバーグリス(ambergris)


クジラが打ち上がるとたびたび話題になるアンバーグリスは、マッコウクジラの内臓に生じる結石のことで、「灰色の琥珀」という意味があります。なんとも魅惑的な香りのするアンバーグリスは、7世紀はじめに東西両洋に進出しかけていたアラビア人により、急速に世界に知られるようになりました。唐の時代末期に伝わった中国では、龍の涎(よだれ)が固まってできたと思われていたことから、「龍涎香」とも呼ばれています。
そんなアンバーグリスは焚香料、化粧料、調味料、さらには薬としても重宝されていましたが、1985年以降、商業捕鯨が禁止されたため、現在は一般的に合成香料で代用されています。

ミステリアスで魅惑的な香りのアンバーグリス。それはリスンのインセンスを柔らかく落ち着いた雰囲気に仕上げてくれています。


香りノートは香りにまつわるあれこれをご紹介する小さなコラム。
香りがみなさんの暮らしに彩りを添えられるように、そんな願いをこめてお届けします。


【参考文献】

香りの百科事典 丸善株式会社 2005年

最新の記事

アーカイブ