香りノート
vol.2 竜脳古代古墳から届いた高貴な香り、竜脳
2014.11.06
名称:竜脳(りゅうのう)/ボルネオール
原産地:インドネシア・マレーシア
心を鎮めてゆっくりと墨をする。黒々とすられた墨から、しずかな香りが漂う。この香気に気持ちが冴え渡るものです。
いにしえより、墨は膠(動物の腸や皮などから抽出する物質)と煤を混ぜ合わせ、固めて作られてきました。この膠は独特の臭気があるため、すっきりとした清涼感のある竜脳が膠の臭気を緩和するために使われてきたのです。
竜脳には刺激的ともいえるほどの香りがあります。竜脳樹の木の隙間に析出した結晶で、現在は天然のものはほとんど手に入りません。 持ち前の香気から、防虫剤や防腐剤などにも使われ、明日香村のマルコ山古墳から出土した遺骨からは、まだその香りが感じられたといわれています。
竜脳の持つ特徴的な香り。古代の人々も感じていた、この高貴な香りを楽しまれてはいかがでしょうか。
香りノートは香りにまつわるあれこれをご紹介する小さなコラム。
香りがみなさんの暮らしに彩りを添えられるように、そんな願いをこめてお届けします。
【参考文献】日本の香り 平凡社 2005年